「ワンちゃんの笑顔を増やしたい」

昨年12月、エカマイのパークレーン内にオープンしたペットショップ＆カフェ「トウィンクル」。店内に入ると、デニム地のキャリーバッグやふわふわの犬用クッションなど愛らしいグッズが目に入る。奥にはカフェスペースが広がり、シャンデリアや棚などの家具はヨーロッパ調の装飾がほどこされ、気品があり、おしゃれな雰囲気が漂っている。

　なんと犬グッズから店内の装飾に至るまで、同店オーナーの山内正太郎さんがデザインしているというから驚く。前職は、30代で某東証一部上場企業の東南アジア域を統括し、３ヶ国の現地法人社長を兼任する最高責任者ＣＥＯだった山内さん。会社員時代はソニーやトヨタといった大手メーカーのデザインやプロセスのコンサルティングをしていたという。

「会社員時代の18年間は、主に製造業の皆様のモノを作るご支援をしていたので、いつか自分のブランドでモノを作りたいと思っていた」と振り返る山内さん。そして、すでに学生時代から「40歳になったら起業する」という人生設計を描き続け、その目標どおり、エリート街道を潔くドロップアウトして、グルーミングと飼育管理士の資格を持つ妻・和歌子さんと一緒に、自社ブランドの犬グッズの生産とマーケティングショップとしてトウィンクルを開店した。

　和歌子さんは根っからの犬好きで、犬の里親探しのボランティア活動をシンガポールでしていた当時、「里親に貰われていくように、少しでもキレイに見せたい」と犬の手入れをしていたことが、グルーミングの資格取得につながった。今では、日々店に訪れる犬の肌の状態を見たり、爪切りを怖がる犬のトラウマを取り除く工夫をしたりと「自分の子供のように愛情を持ってケアを続けています」とほほえむ。

　グルーミングやペットホテル、ドッグカフェ、犬グッズの商品企画、グッズ輸出、ペット不動産というビジネスのほかに、夫妻はバンコクの愛犬家と愛犬の生活環境向上を目指すボランティア活動を４月から本格的に開始。集まった仲間と共に、ペット可の公園やレストラン、コンドミニアムやホテルなどの情報を集め、今年９月に一般公開を予定している。こうしたお金を度外視した活動を続けるのも、夫妻の「ワンちゃんの笑顔を少しでも増やしたい」という願いからだ。

　近々、トンローに自由に遊べるペットコンドミニアムを発表予定。そして将来的には「犬の性格から健康状態までを見るグルーミングの仕事と提携し、トータルケアができ、ワンちゃんが笑顔で訪れるペット病院をバンコクにつくりたい」と語る。夫妻の犬への愛情は尽きない。