ラーメン店主の傍ら芸能活動もスキンヘッドが開運のはじまり!?

シーロムにある仙台ラーメン「もっこり」に足を踏み入れると、壁には所狭しと新メニューやお勧めメニューがずらり。さらにはタイの著名人やハリウッドスターと、店主の鈴木範生(のりお)さんが一緒にうつった写真も貼り出されている。今回は鈴木さんにインタビューを試み、タイへの関わり、「もっこり」の店について、俳優活動などについて語ってもらいました。

―10月１日で４周年を迎えたもっこりシーロム店ですが、そもそもお店を始めたきっかけは？

　日本郵船（株）の駐在員として３年間タイで過ごした後、日本に帰ると、日本は活気が感じられなくなって、逆に活気があるタイに可能性を感じた。ちょうどそのころ、子会社への派遣の辞令があったんだけど、仕事へのやりがいを考えて、30数年間勤めた日本郵船を思い切って、選択定年制度を利用して退職。その後、タイで畑違いの会社に転職して、給料条件等は以前に比べて大変厳しかったけど、新たな知識を得たり、タイでの人脈を広げたりと以前とは違うことを学べたよ。

　学生時代に喫茶店等でアルバイトをしていて、「将来は飲食店をやりたい」という夢を持っていた。転職して約５年が経ち、雇われの身ではなく、自分で何かやりたいと思っていた矢先に、もっこりのフランチャイズ募集を見て応募。２００７年に店を始めて、学生時代からの夢を叶えることができた。

―仕事へのやりがいを感じる瞬間は？

　お客さんに「ごちそう様！おいしかったよ」と言ってもらえた時がなんといっても一番うれしい。そのためにも「早い・うまい・安い」をモットーに、日々の仕込みや仕入れ、在庫のチェックを徹底している。朝６時ころに起きて、スープの仕込みをスタート。店に立つ以外は、買出しや事務処理、業者とのやりとりに追われ、仕事が終わるのが大体深夜１時ころ。毎日睡眠時間は２時間半～４時間だけど、やっぱり好きだから続けられるんだよね。家に帰ってシャワーを浴びて、テレビの前に座った時が一番ホッとする。今日もお客さんに喜んでもらって「あー、良かったな」って一日を振り返るのが至福の時。

―「ぶっかけラーメン」「バンセンラーメン」などユニークなメニューも豊富ですね。

　約150種類あるメニューのうち、オリジナルメニューは20～30種類。もっこりシーロム店に来ないと食べられない、この店にしかないメニューを日々目指している。そのためにも普段から食べ歩きをして、新しいメニューのヒントになるものを探している。

―タイ人従業員を長く雇うのは難しいと言われている中、従業員のほとんどが開店当初からずっと変わらないそうですね。

　３カ月間の試用期間中に厳しく指導して、結果的に残った根性のある従業員が今まで続いている。厳しくたたいて残れなければいずれ辞めてしまうからね。そして、正式な従業員になったからには、彼らの生活を安定させるのが経営者としての務めだと思っている。安心して働ける環境だからこそ、彼らも仕事に集中できる。オープン当初から、利益があろうとなかろうと、ボーナスは生活給の一部と考え、毎年あげている。店が軌道に乗ってきて、忙しくなって大変だけど、仕事が終わったときの達成感があるからこそ、従業員の働きがいも出てくる。店がいい循環で回っているからこそ、長く勤めているんだと思う。
―芸能活動を始めたきっかけは。

　髪が薄くなってきたころ、ハゲと言われたくなくてスキンヘッドにした。「スキンヘッドにしたらかっこいいんじゃない」って言ってくれる人がいてね。それが２００４年暮れで、これが開運の始まりだったと思っている。翌年初めに知人を通じて「頭に毛がない日本人を探している」というＣＭオーディションの話が舞い込んできて、「面白そうだな」と受けてみた。そのオーディションには受からなかったけど、その時に行ったスタジオで、モデル事務所の社長から声をかけられてモデルに登録。そのすぐ後にさっそく違うオーディションがあって受かり、味の素のおせんべい「おせん」のＣＭに出演。その後もケンタッキーやオイシのＣＭなど10本以上に出演したんじゃないかな。

―ハリウッドデビューも果たしたそうですね。

　２００８年に映画「ストリートファイター」に日本のマフィアのボス役で出演した。映画は昔から好きでよく観ていたけど、まさか出れると思ってなかった。エンドロールに自分の名前が出たのは感動だったな。

　タイでは日本食や日本茶など日本ブームが続いていて、日本人を使ったＣＭ等たくさんのチャンスがある。日本に居たら、ただのおじさんで終わっていたけど。ぼくの人生は、死ぬまで現役。「今を生きる」気持ちで今この瞬間を一生懸命楽しく生きたい。

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