コンドミニアム購入でローン１９年

最近は、タイ人の住宅購入に関しては、郊外の一軒家、タウンハウスを買うという選択から、ＢＴＳ、地下鉄沿線のコンドミニアムを買うという傾向に変わってきており、そういった都心部で働くタイ人向けの新規コンドミニアムが次々に出てきている。

　さて今回は、実際にあるタイ人がコンドミニアムを購入する状況というのを詳細に書いてみたい。

　オフィス街で働くタイ人女性33歳。結婚はしておらずアパート住まいだが、以前からコンドミニアムの物件を探していて、条件は、駅から歩いていける物件、安っぽく見えない物件、ローンが組めるだろう物件、１ＬＤＫまでの物件。いろいろ見て歩いて、１年前に地下鉄スティサン駅前のグレードの高い物件をモデルルームで見て気に入り、契約をした。

　自分１人が住むのに十分だとして、31㎡の部屋で、スクムビット方面が見渡せる25階の部屋。部屋の中にはベッドやテレビ等が備え付けられた状態で明け渡される。価格は303万バーツ。１㎡当たり10万バーツ近い、かなり高級な物件だ。ラチャダーピセック通りでこの値段は、相場よりも少し高めかも知れないが、インラック首相が以前、社長をしていて、タクシン関連の会社が建設する高級物件で、安心できると、その物件に決めた。

　まず、１年前の契約日に13万バーツを支払い、完成する今年12月まで１年間、頭金を分割で17万バーツ支払う。そして残りの273万バーツだが、我々、外国人の場合は、一括して外国から送金して購入しなければならず、また労働許可証を持っている日本人なら、タイで貯金したお金で、一括して買うことになる。

　一方、タイ人の場合は、ローンが組めるため、ほとんどのタイ人はローンを組んでいる。ただ、ローンが通らない、というケースが多くあり、その時は購入を断念することになる。インターネットでは「頭金のみ販売」で、こういったローンが通らない物件が売り出されている。

　そのタイ人も完成がせまる今、９月にローンが組めるのかどうかをカシコン銀行に申請し、残りの273万バーツをすべてローンに設定し、申し込んだ。銀行は、毎月の給料や貯金額、土地などを持っているかを見て、判断を下すが、そのタイ人は見事に通ってしまった。

　給料は３５０００バーツもらっており、１ヵ月のローンに設定したのは１９１００バーツ。それを何年、払い続けるのかというと、19年。計算すると４３５４８００バーツになる。
　日本人なら、900万円の物件を19年のローンで払い続けて、利息を400万円も支払うなんて、ナンセンスだと思うが、タイではそれが一般的である。このケースではいく分、利息が安いのかなという感じはある。今回、銀行では１年目は利息0.5％で２年目からは６％ほどの設定という。

　銀行のローンがＯＫということで、あとは正式に銀行でローンを組み、建物が完成すると、部屋の明け渡しとなり、晴れて自分の部屋になる。といっても、その部屋の謄本（タビアンバーン）が担保がつかずに自分の名前になるまでに19年かかるというわけだが…。